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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)840号 判決

被告人

本店所在地

東京都目黒区自由が丘一丁目二七番地二号

東香企業

株式会社

(右代表者代表取締役細川定信)

本籍

東京都江東区門前仲町一丁目六番地二

住居

同都豊島区東池袋五丁目九番一三号

職業

会社役員

細川定信

昭和六年一月一七日生

出席検察官検事

神宮寿雄

主文

1  被告会社東香企業株式会社を罰金七〇〇萬円に、

被告人細川定信を懲役八月に

それぞれ処する。

2  被告人細川定信に対し、この裁判確定の日から

三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都目黒区自由が丘一丁目二七番地二号に本店を置き、キヤパレーの経営及び不動産の売買等を営業目的とする資本金一、五〇〇万円の株式会社であり、被告人は、右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における株式会社の実際所得金額が二八、三六九、九三〇円あつたのにもかかわらず、昭和四七年五月三一日、東京都目黒区中目黒五丁目二七番一六号所在の、所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、九七〇、八三六円で、これに対する法人税額が五五一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、一六三、一〇〇円と右申告税額との差額九、六一一、五〇〇円を免れ(別紙(一)及び(四))

第二  昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六九、九四二、九八〇円あつたのにかかわらず、昭和四八年五月三一日、前記目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三八、八二四、四二五円で、これに対する法人税額が、四八、二六八、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額五九、六九九、八〇〇円と右申告税額との差額一一、四三一、七〇〇円を免れ(別紙(二)及び(四))

第三  昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二二、七八〇、四三五円あつたのにかかわらず、昭和四九年五月三一日、前記目黒税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が二〇、四九三、五三九円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額七、四三三、九〇〇円を免れ(別紙(三)及び(四))

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述(全般)

一、被告人の検察官に対する供述調書(〃)

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書九通(〃)

一、被告会社の会社登記簿謄本(〃)

一、収税官吏平尾育男作成の売上調査書(売上高)

一、阿戸健次作成の取引内容照会に対する回答(〃48/3期)

一、加藤善作作成の取引内容照会に対する回答(商品棚卸高)

一、収税官吏平尾育男作成の貸付金等マイクロ調査事績書(給料手当)

一、細川道子の収税官吏に対する昭和五〇年一月二五日付質問てん末書(福利厚生費、旅費交通費)

一、酒井輝明作成の取引内容照会に対する回答(備品費、交際費49/3期)

一、細川定信作成の昭和五〇年二月一四日付及び一七日付の各上申書(募集費)

一、収税官吏小田富士夫作成の預金残高及び収入利息調査書(受取利息割引料)

一、検察事務官藤田俊夫作成の捜査報告書(事業認定損)

一、松本敬三作成の昭和四九年一二月二〇日付上申書(交際費48/3期 49/3期)

一、細川定信作成の昭和五〇年二月二六日付上申書(49/3期の交際費、福利厚生費)

一、今岡藤二作成の取引内容照会に対する回答(家賃地代)

一、伊原耕作作成の 〃 ( 〃 )

一、小林シン作成の 〃 ( 〃 )

一、福島友栄作成の 〃 ( 〃 )

一、湯川予枝子作成の 〃 ( 〃 )

一、小林静子作成の 〃 ( 〃 )

一、収税官吏平尾育男作成の減価償却超過額明細書(減価償却費)

一、押収してある次の証拠書類(その他の科目、公表額及び申告状況)

1  総勘定元帳三綴(昭和五〇年押第一二七五号の符一、二、三)

2  法人税確定申告書三綴(右同押号の符七、八、九)

3  決算関係書類一綴綴一綴(右同押号の符五)

4  領収書綴五綴(右同押号の符六)

(累犯となる前科)

被告人は、昭和四一年六月八日東京地方裁判所で暴力行為等処罰に関する法律違反の罪により懲役一年に処せられ、同四四年一月一七日右刑の執行を受け終つたものであつて、右事実は検察事務官作成の前科調書によつてこれを認める。

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法五六条一項、五七条(判示第一及び第二の罪につき)、四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙(一) 修正損益計算書

東香企業株式会社

自昭和46年4月1日

至昭和47年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

東香企業株式会社

自昭和47年4月1日

至昭和48年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

東香企業株式会社

自昭和48年4月1日

至昭和49年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(四) 脱税額計算書

東香企業株式会社

46.4.1~47.3.31

〈省略〉

脱税額計算書

47.4.1~48.3.31

〈省略〉

脱税額計算書

48.3.31~49.3.31

〈省略〉

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